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笑いで元気 夢は漫才師 震災後福島から避難 可部高の青木君

 東日本大震災後、福島県飯舘村から広島市安佐北区に避難してきた可部高2年青木燎平君(16)が、プロの漫才師を目指している。福島で見た芸人のライブで、被災者を笑顔にした「笑いの力」を実感したのがきっかけ。広島市内のアマチュア落語家の協力を得て、13日に安佐南区民文化センターで同級生と初舞台に臨み、夢への第一歩を踏み出す。(山本祐司)

 小学生の頃から人を笑わせるのが好きだった青木君。福島第1原発事故で不安が広がっていた2011年5月、漫才師や落語家のライブを福島市で見た際、沈んだ表情の観客を笑顔に変える様子を目の当たりにして「笑いは人を元気にする」と感動。笑いの魅力にさらに引き込まれた。

 飯舘村が避難区域に指定され、同年6月に家族で広島に移った。人心地が付いてから落語の本を読み、お笑い芸人のDVDを見るようになった。ことし2月、中区のよしもと紙屋町劇場で「今いくよ・くるよ」の漫才を観覧。老若男女を笑いの渦に巻き込むプロの話術に魅了され、劇場を出る2人に「弟子にしてほしい」と訴えた。3月に大阪で再び直訴し、「本気なら夏休みに親と大阪に来て」と言われた。夏に出直すつもりでいる。

 初舞台のきっかけは1月、中区のアマチュア落語家、杉田直美さん(57)との出会い。「舞台に出たい」と懇願すると、杉田さんが「夢を応援したい」と、計15人が落語や一人芝居を披露する公演を企画してくれた。青木君は同級生の槙尾璃優(りゆう)君(16)=安佐北区=とコンビを組んで、10分の漫才を披露する。

 青木君は「また見たいと思ってもらえる芸を見せたい」と槙尾君と稽古に励む。13日は午後2時開演で入場料700円(前売り500円)。杉田さんTel090(8719)4147。

(2014年4月10日朝刊掲載)

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