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一家全滅 原爆の悲劇 遺品29点 資料館で展示 広島市中区

 原爆で一家全滅した家族の悲劇を伝える「消えた家族」展が10日、広島市中区の原爆資料館東館で始まった。親戚や知人から寄せられた遺品が原爆の悲惨さを物語る。8月31日まで。

 3階の収蔵資料紹介コーナーに、6家族ゆかりの計29点を集めた。焼け残った表札や表面のガラスが溶けた時計を並べ、一家の被爆状況をまとめた説明板を添えた。

 播磨屋町(現中区)で散髪店を営んでいた鈴木六郎さん一家6人の品は昭和10年代に撮った写真。水遊びを楽しむ息子や、母親に甘える娘の表情を六郎さんが切り取った。名前さえ分からない一家の借家で見つかった、溶けてゆがんだガラス瓶もある。

 同館学芸課は「人知れず、原爆に存在を消された家族がいることを知ってほしい」と来場を呼び掛けている。

 同コーナーの展示品は半年ごとに入れ替えてきたが、改修工事で東館を9月1日にいったん閉館するため、今回は会期が短い。(田中美千子)

(2014年4月11日朝刊掲載)

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