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ヒロシマ描く励みに 「光のうつしえ」 福田清人賞 広島出身の朽木祥さん

 日本児童文芸家協会の第9回福田清人賞に、広島市出身の児童文学作家朽木祥さん(57)=神奈川県鎌倉市=の「光のうつしえ」(講談社)が選ばれた。

 受賞作は、被爆から25年ほどたった広島が舞台。3人の中学生が、被爆体験の聞き取りを通じて、惨禍に向き合う物語。選考委員は「次世代に語り伝えていかねばならないという著者の深い思いがしんしんと染み入り、読み応えのある作品」と評価した。

 同賞は、元会長の福田清人氏を顕彰するために創設された。歴史を背景にした少年少女小説などを対象に優れた作品に贈られる。

 朽木さんはこれまでに、「かはたれ」で第35回児童文芸新人賞(同協会主催)、「彼岸花はきつねのかんざし」で第33回日本児童文芸家協会賞に輝いている。朽木さんは「ヒロシマを描くときにはいつも、目に見えない多くの力に助けられているような気がする。ヒロシマを書き続けていくための大きな励ましを頂いた」と語る。

 このほか、第43回児童文芸新人賞は嘉成晴香さんの「星空点呼」に決まった。第53回児童文化功労賞(同)には、児童文学評論家の清水真砂子さん、童話作家の森山京さん、児童文学作家の岡野薫子さん、絵本作家の和歌山静子さんの4人が選ばれた。

 贈呈式は5月23日、東京都千代田区のアルカディア市ケ谷である。(石井雄一)

(2014年4月11日朝刊掲載)

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