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原点の地から核軍縮発信 NPDI外相会合開幕 広島

 核兵器を持たない12カ国でつくる「軍縮・不拡散イニシアチブ(NPDI)」の外相会合が11日、広島市で開幕した。日本では初開催。12日までの2日間、核兵器が史上初めて人類に対して使われた原点で、被害の実態に触れ、核軍縮に向けた政治的なメッセージを発信する。初日は出席外相との意見交換会やシンポジウムを通して、市民が直接、各国の代表たちに核兵器廃絶の願いを訴えた。(田中美千子、藤村潤平)

 12カ国のうち外相たち閣僚の出席は7カ国と過去最多。米国のローズ・ガテマラー国務次官たち3人がゲスト参加する。うち日本、オーストラリア、オランダの外相がこの日、南区で被爆者や高校生たち9人との意見交換会に臨んだ。

 冒頭、松井一実市長は「意見に耳を傾け、核兵器廃絶に向けた世界的コンセンサスを醸成してほしい」とあいさつ。その後、非公開で話し合った。

 広島県被団協の坪井直理事長(88)は自らの被爆体験に触れ「人の命を大切に」と訴えたという。終了後に記者会見し「核戦争になれば人類は滅びる。ある程度、分かってもらえたと思う」と語った。

 意見交換会に先立つ中区でのシンポジウムでは、各国の政府代表と松井市長、湯崎英彦知事たち8人が核兵器の非人道性や廃絶に向けた道筋を討議した。外相会合と同じ日程で、外務省主催の「ユース非核交流プログラム」も始まった。NPDI参加国のうち7カ国の若者10人が、市内で交流しながら核問題を考える。

 初日の日程を終えた岸田文雄外相(広島1区)は記者団に「無事にスタートさせることができた。核兵器のない世界に向けた力強いメッセージを込めた広島宣言の取りまとめを目指す」と述べた。

 12日は外相たちが中区の原爆資料館を訪れ、被爆者の証言を聴いた後、南区でのメーン会合に臨む。

(2014年4月1日朝刊掲載)

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