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「どう核廃絶」シンポ白熱 広島でNPDI外相会合開幕 非合法化めぐり平行線

 核兵器の非人道性を前面に、どう廃絶の道筋を描くのか―。軍縮・不拡散イニシアチブ(NPDI)外相会合の一環で、11日に広島市中区であった核軍縮シンポジウムの議論は白熱した。米国の「核の傘」の下で現実的な軍縮策を求める日本、オーストラリア両政府の代表と、核兵器の非合法化や禁止条約を唱える非政府組織(NGO)の代表たちの意見は平行線をたどった。(岡田浩平)

 8人が登壇したパネル討論。「原爆資料館は非人道性を如実に物語っている」。オーストラリア外務貿易省のピーター・テシュ第1次官補は初めて訪れた被爆地の感想を切り出した。ただ「非合法化で合意しても核兵器はなくならない。理想主義と現実主義の両方がないと核なき世界は達成できない」と、自国の立場も強調した。

 日本の佐野利男軍縮大使も「非人道性の問題は日本が本家本元だ」としつつ「核拡散防止条約(NPT)体制を強化し、現実的措置を一歩一歩とるのが一番の近道だ」と述べた。

 被爆地にあって手堅いステップを説く日豪両政府。そのかたくなな姿勢に、オランダの国際NGO「PAX」のスージー・スナイダー核軍縮プログラムマネジャーは「核兵器はどういう状況でも二度と使われてはならない。核兵器を非合法化する時だ」と反論。核兵器廃絶国際キャンペーンの川崎哲共同代表も「核兵器の問題は国対国の軍事バランスでなく、人間の問題としてとらえるべきだ」と訴えた。

 一方、被爆地広島の松井一実市長は「各国のリーダーシップをとる方が広島で実相に触れる機会が継続的に要る」と指摘。2015年の被爆70年を機に、国連の出先機関の誘致に本腰を入れる考えを打ち出した。

 シンポは広島県や市、広島商工会議所などでつくるNPDI外相会合支援推進協議会の主催。市民たち約470人が詰め掛けた。

(2014年4月12日朝刊掲載)

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