×

ニュース

被爆地訪問 世界に訴え NPDI外相会合 広島宣言を採択

 核兵器が初めて人類の頭上に投下された広島市で開かれていた「軍縮・不拡散イニシアチブ(NPDI)」の外相会合は12日、核兵器保有国を含む各国首脳に被爆地訪問を呼び掛ける「広島宣言」を採択し、2日間の全日程を終えた。核兵器を持たない12カ国でつくるNPDIとして初めて、宣言で核兵器の非人道性に言及。「国境と世代を超えて認識を広げる重要性」を指摘した。国内では初の開催だった。(田中美千子)

 宣言は冒頭、被爆地訪問を通して「原爆の破滅的で非人道的な結末を直に目撃した」と強調。各国の政治指導者が自身の目で確かめるため、広島・長崎を訪れるよう促した。一方、核兵器の非合法化については言及を避け、米国の「核の傘」に頼る国への配慮をにじませた。

 核軍縮に向けた具体策としては、米ロが新戦略兵器削減条約(新START)に基づく戦略核弾頭削減を果たした後の追加措置についても議論するよう提唱。各国の核戦力をめぐり、情報の透明性向上も訴えた。また中国などを念頭に核兵器の増強を懸念。「すべての種類の核兵器の究極的な廃絶」に向け、多国間交渉の必要性をうたった。

 この日はメーン会合後にワーキングランチがあり、核兵器保有国では初めて、米国のローズ・ガテマラー国務次官が出席。さらなる核軍縮に向けたオバマ大統領の考えを説明した。

 外相たち12人は会合に先立ち、中区の平和記念公園を訪問。市民約700人が見守る中、松井一実市長の先導で原爆慰霊碑に花を手向け、犠牲者に哀悼の意を示した。原爆資料館を見学後、被爆者の小倉桂子さん(76)=中区=の体験証言も聴き、原爆被害の理解を深めた。

 閉幕後の共同記者会見では、ホスト国として議長を務めた岸田文雄外相(広島1区)が「被爆の実相に触れてもらった経験は議論に影響したと思う。多様性や地域横断性がある中、一つの宣言をまとめた重みを感じてほしい」と成果を強調した。NPDIは今回の合意事項を踏まえ、今月下旬から米ニューヨークで始まる核拡散防止条約(NPT)再検討会議の第3回準備委員会へ核軍縮に向けた提言をする。

 広島宣言全文の日本文と英文は、ヒロシマ平和メディアセンターのウェブサイトなどに掲載しています。

(2014年4月13日朝刊掲載)

年別アーカイブ