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原点 忘れない NPDI外相会合 「廃絶」へ思い強く

 軍縮・不拡散イニシアチブ(NPDI)の出席外相たちは12日、広島市中区の平和記念公園を訪れた。「ネバーアゲイン」「一生忘れない日になった」…。核兵器廃絶と世界平和を願うヒロシマの原点に触れた感想をそう表現した。(田中美千子、水川恭輔、明知隼二)

 原爆があの日、市民生活を襲った午前8時15分。原爆慰霊碑に向き合った。白いユリの花束を一人ずつ手向け、深く、こうべを垂れた。華やかな外交シーンも、この日ばかりは違っていた。原爆資料館では、学徒動員中に被爆死した中学生の黒焦げの弁当箱や、大やけどを負った被爆者の写真に見入った。

 「被爆者は体にも心にも傷を負っている」「一人の力は小さな水滴のようでも、やがて海になる」。広島国際会議場で、外相たちにそう語り掛けた被爆者の小倉桂子さん(76)=中区。証言後、オーストラリアのジュリー・ビショップ外相が歩み寄り「心を揺さぶられた。あなたは勇敢な女性です」。握った手に力を込めた。

 オランダのフランス・ティメルマンス外相も「どんな本を読むより胸に響いた。核兵器の脅威を全ての人がこの地で学ぶべきだ」と吐露した。

 大役を終えた小倉さんは「8月6日が来るたび、まだ核兵器があるのかと思う。私の思いが伝わったと信じたい」。そう期待した。

 メーン会合でも、外相たちが異口同音に「核兵器のない世界への思いを新たにした」と語ったという。ドイツのフランクワルター・シュタインマイヤー外相は「道は長く険しいが、ゆっくりでも歩みたい」と話した。

 外務省の「ユース非核交流プログラム」に参加した7カ国の高校生や大学生計10人も12日、原爆資料館を見学。ドイツのヤン・リュノーバー君(16)は「歴史の授業だけでは、これほどの被害を想像できない。若い世代は核兵器の残酷さをもっと学ばないと」と前を向いた。

(2014年4月13日朝刊掲載)

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