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社説・コラム

NPDI会合 議長務める岸田外相に聞く 政治的メッセージ出す

 広島市で11、12の両日、軍縮・不拡散イニシアチブ(NPDI)外相会合が開かれ、非核保有12カ国が核軍縮の具体的な道筋を議論する。ホスト国として議長を務める岸田文雄外相(広島1区)に、会合の展望などを聞いた。(藤村潤平)

 ―広島で会議を開く意義をどう考えていますか。
 各国の外相に被爆地に足を運んでいただき、被爆の実相にしっかり触れていただく。その上で、政治的なメッセージを出すことに一つの意義がある。来年の核拡散防止条約(NPT)再検討会議を見据えて、しっかり発信したい。

 ―NPDIのメンバー国の中でも、日本のように段階的に核軍縮を進めようとしたり、メキシコのように速やかな核兵器の禁止を求めたりと立場が異なります。議論をどのようにまとめていきますか。
 昨今、核兵器に関する非人道性について国際社会の中で議論され、重視されている。さまざまな立場や考え方があるが、核兵器の非人道性を考慮することが核兵器のない世界を目指す上で、国際社会を結束させる触媒になる。核兵器の非人道性に関する認識を基にコンセンサス(合意形成)を得て、共通の政治的メッセージをまとめる成果につなげたい。

 ―NPDIが核兵器禁止条約を提案し、実現に向けて働きかけてほしいとの被爆地の声をどう受け止めますか。
 わが国は、核兵器の非人道性に関する正確な認識と、厳しい安全保障に対する冷静な認識との両方を併せ持ちながら、(核軍縮で)現実的、具体的な前進を図っていく方針だ。この方針を大事にし、核兵器のない世界という大きな目標に向かっていきたい。

 各国によって核軍縮へのアプローチはさまざまだ。ただ、核保有国である米国も含めて多くの国が、核兵器のない世界を目指すという目標は共有している。それぞれのアプローチを尊重し、目標に向かって努力しなければならない。

(2014年4月8日朝刊掲載)

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