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原爆で消えた旧中島地区再び 広島の田辺さんら、映像化準備

■記者 森田裕美

 現在の広島市の平和記念公園(中区)の場所にあり、原爆で壊滅した旧中島地区を舞台にした映像作品づくりが進んでいる。映像制作会社社長田辺雅章さん(70)=西区=たちが、元住民の協力を得て原爆で壊滅する前の街並みを復元する。昨年十二月十四日、広島市立大(安佐南区)で第一回の技術委員会を開いた。二〇一〇年の完成を目指す。

 田辺さんと、三次元コンピューターグラフィックス(CG)を監修する広島市立大の中嶋健明教授、建築工学が専門の広島工業大の福田由美子准教授、地図学研究者の竹崎嘉彦氏ら五人が集まった。作品の基本となる被爆前の正確な地図をどう映像化するかを話し合った。

 旧中島地区は映画館や料亭、民家などが立ち並ぶ繁華街だった。まず、原爆投下直前に米軍が空撮した写真と元住民の証言などを合わせて被爆前の地図を作製。さらにGPSを使うなどして、現在の公園のどの位置に何があったかを正確に地図を重ねる方法など技術的手段を検討した。

 来年から本格的に元住民の被爆者のインタビュー収録を始め、六十分間のドキュメンタリー作品にまとめる。田辺さんは「今は外国人も多く訪れる平和記念公園で、あの日、多くの命が奪われた事実を伝え、国際的に受け入れられる作品に仕上げたい」と話している。

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