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放射能汚染除去へ連携 広島国際学院大とインドの大学

■記者 小山顕

 広島国際学院大(広島市安芸区)は、微生物を使い放射性物質を回収する技術研究で、インドのラベンシャウ大と教育研究協定を結ぶ。ウランなどの鉱山がある現地で、土壌や河川の放射能汚染を効率的に除去できる技術の確立を目指す。

 凝集性のある光合成細菌を吸着したセラミックを使う。細菌はマイナス電気を帯びた粘着物質を出し、プラスイオンを持つウランや重金属を引き寄せる。ウラン20ミリグラムを含む水1リットルにセラミックを入れると、2、3日で回収できるという。広島国際学院大の佐々木健教授(60)=バイオ環境工学=らの研究班が2008年に開発した。

 佐々木教授は、実用化には吸着能力をさらに高める必要があるとする。そこへ、インド東部オリッサ州にあるラベンシャウ大との連携が持ち上がった。

 今月末、ラベンシャウ大地質学部長に就任する広島国際学院大のナチケタ・ダス客員教授(54)=地質学=が、佐々木教授が取り組む回収技術や水質分析技術に着目、協力を提案した。排水処理のインフラが十分でなく、鉱山からの排水が問題になっている現地の鉱山地域で実証研究を重ねるという。

 ナチケタ客員教授は「佐々木教授たちの水質管理やバイオ技術の水準は高く、母国の課題解決に生かしたい」と意気込む。

 佐々木教授は「将来は劣化ウラン弾で汚染された地域でも活用できるよう、日本ではできない実証研究を重ねていきたい」と話している。

(2010年7月20日朝刊掲載)

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