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土門拳賞 桑原史成さん 津和野出身 水俣病を取材

 写真界を代表する賞であることしの第33回土門拳賞に、島根県津和野町出身の報道写真家、桑原史成(しせい)さん(77)=東京都江東区=が選ばれ、都内で16日、授賞式があった。

 1960年から水俣病の取材を続ける桑原さん。集大成として、昨年9月に出版した写真集「水俣事件」(藤原書店)と、同11、12月に東京と大阪で開いた個展「不知火海(しらぬいかい)」が、「記録に徹して編まれており、私的な写真があふれる日本の写真界に大きな刺激と重みを与えた」と評価された。

 77歳6カ月での受賞は、81年に創設された同賞の受賞者で最年長。記念品を受け取った桑原さんは「多くの未認定患者が存在し、法廷闘争も続く。事件の周辺に居続ける傍観者としての負い目を感じつつ、撮影を続ける」と決意を述べた。

 桑原さんは津和野高を卒業後、東京農業大在学中に東京フォトスクール(現東京総合写真専門学校)で写真を学んだ。62年、個展「水俣病」でデビュー。韓国の民主化運動、ベトナム戦争、旧ソ連崩壊など幅広いテーマで作品を発表している。(石川昌義)

(2014年4月17日朝刊掲載)

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