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元捕虜ら広島で祈り カウラ事件70年 豪で8月式典

 第2次大戦中にオーストラリアのカウラ収容所で日本人捕虜が集団脱走を図った「カウラ事件」で、元捕虜の村上輝夫さん(93)=鳥取市=やカウラ市のビル・ウエスト市長たちが17日、広島市中区の平和記念公園を訪れた。

 ウエスト市長たち代表団6人は、8月1~5日にカウラ市である「カウラ捕虜脱走事件70周年記念式典」への参加を呼び掛けるため11日に来日。この日は、同公園内の原爆慰霊碑に花を手向け、村上さんや、元捕虜たちでつくる「豪州カウラ会」の元会長で故浅田四郎さんの次女慶子さん(62)=西区=たちと交流した。

 カウラ収容所では1944年8月5日、日本人捕虜1104人が蜂起し231人が死亡。オーストラリア兵4人も犠牲となった。カウラ市では戦後、日豪関係の改善に向けて現地の退役軍人が日本人墓地を管理したり、10年置きに式典を開いたりしている。

 事件の約3カ月前に捕虜となった村上さんは「お墓を守るカウラの人に感謝する」と話した。原爆資料館も見学したウエスト市長は「広島の悲劇をあらためて知り、胸に迫った。カウラ事件も次世代に伝えていきたい」と話した。(久保田剛)

(2014年4月18日朝刊掲載)

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