×

ニュース

心の封印解き初の被爆証言 広島の国重さん 岐阜の旅行児童に

■記者 増田咲子

 爆心地から約2キロの場所で被爆した国重昌弘さん(79)=広島市佐伯区=が22日、岐阜県各務原市の小学6年生に初めて体験を語った。顔や腕に大やけどを負ったつらい思い出を65年間封印していたが、核兵器の恐怖を一人でも多くの人に伝えたいと、この春、原爆資料館(中区)の被爆体験証言者になった。

 14歳だった国重さんは、東練兵場(現広島市東区)で朝礼中に被爆。顔と左腕にやけどを負いながら、自宅のあった廿日市町(現廿日市市)まで逃げた。両親に、皮膚をむいて治療してもらった思い出や、終戦後はケロイドが残った腕を隠すため、長袖を着用していた話などを語った。

 証言者になることを決意したのは今年初め。やけど治療中にうわ言で「痛い。敵を討ってやる」と言ったエピソードを思い出し、核兵器廃絶を実現することでその思いを果たそうと考えたという。

 平和学習で訪れた小学6年生17人に、時折、涙ぐみながら体験を語った国重さん。「熱心に聞いてくれた。核兵器廃絶の日まで証言を続けたい」と話していた。

(2010年7月23日朝刊掲載)

年別アーカイブ