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5度目回答 公表せず 上関原発の免許延長申請 山口知事 県に補足説明届く

 山口県は14日、中国電力による上関原発建設予定地(山口県上関町)の公有水面埋め立て免許の延長申請で、中電に求めた5度目の補足説明の回答文書が届いたと発表した。村岡嗣政知事は内容を公表せず、「内容を精査した上で判断する」と述べるにとどめた。

 村岡知事は、回答内容について「審査中なのでコメントは控えたい」とした。「公有水面埋立法に基づいて適正に審査する」とし、6度目の補足説明を求めることも否定しなかった。

 中電は免許の期限切れ直前の2012年10月5日、3年間の延長を申請。県は新たな期間内の工事完了が可能かどうかなどを繰り返し照会。昨年3月4日、山本繁太郎前知事が可否判断を1年程度先送りし、国のエネルギー政策における上関原発の位置づけを中電に証明するよう求めていた。

 中電は回答期限の今月11日、午前中に閣議決定された新たなエネルギー基本計画の内容を踏まえた回答文書を県に郵送していた。

 基本計画では再稼働による原発利用を明記する一方、上関原発などの新増設には触れていない。村岡知事は「国の基本計画から直接判断するのではなく、あくまで申請に基づいて判断する」と強調した。(門戸隆彦)

【解説】判断時期示さず 先行きは不透明

 中国電力による上関原発建設予定地の公有水面埋め立て免許の延長問題は、ますます先行きが見えにくくなった。村岡嗣政知事が中電に求めた5度目の補足説明の回答内容の公表を控えた上、判断時期の見通しも明示しなかったからだ。

 2月に初当選した村岡知事は、昨年3月に1年程度の判断先送りをした山本繁太郎前知事の方針を引き継ぐことを明言。中電の回答を待って判断する考えを示していた。だが回答文書が届いた14日、県が定める標準処理期間にこだわらない方針をあらためて示し、「担当部署で精査した上で判断する」と述べた。

 福島第1原発事故後の2011年6月に「現時点では不許可にせざるを得ない」とした二井関成元知事の議会答弁からはずいぶん変わったことは否めない。

 判断時期を明示しないのは、国のエネルギー政策で上関原発の位置付けがなお明確になっていないためとみられる。中電の筆頭株主でもある県が、国の方針を見極めて判断したいという思いもにじむ。

 自民、公明両党の推薦を得て初当選した村岡知事は官僚出身者らしく手腕は手堅い。しかし、この問題に関してはもっと県民に分かりやすく説明し、声に耳を傾ける必要があるのではないか。(門戸隆彦)

(2014年4月15日朝刊掲載)

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