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「核ゼロ可能」 米国務次官が広島大で講演

 NPDI外相会合にゲスト参加するため広島市を訪れたローズ・ガテマラー米国務次官が12日、東広島市の広島大東広島キャンパスで講演した。核軍縮の課題をめぐり、学生たちと意見交換もした。「広島で学生と語りたい」というガテマラー氏の希望に基づき、米側から広島大に打診があったという。留学生を含む学生約70人が参加した。

 ガテマラー氏は主に、包括的核実験禁止条約(CTBT)の意義について語った。CTBTは162カ国が批准しているが、米国では議会が15年前に批准を否決したまま。オバマ政権にとって国内での説得作業が課題となっている。

 ガテマラー氏はまた、太平洋マーシャル諸島のビキニ水爆実験から60年の式典があった3月1日に現地で、当時被災した第五福竜丸の元乗組員、大石又七さんと面会したことなどに言及。「核兵器の使用が人間に何をもたらすのか、心揺さぶられる対話から実感した」とした。

 学生との質疑では、オバマ大統領が掲げる「核兵器のない世界」に話が及び「(核兵器の)ゼロは可能」と断言。だが「時間はかかる。一歩一歩進めるしかない」とし、早期の廃絶実現は否定した。教育学部2年の山木戸啓(はじめ)さん(25)は「米外交上のデリケートな問題を率直に語ってもらい、貴重な機会になった。オバマ政権は核軍縮を強調しながら、実際にはスピーディーに進んでいないとも痛感した」と話した。(金崎由美)

(2014年4月13日朝刊掲載)

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