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上関原発推進派は評価 エネ基本計画の閣議決定 反対派「経済至上主義」

エネ基本計画閣議決定

 政府が原発を「重要なベースロード電源」と位置付け、民主党政権の「原発ゼロ」方針を撤回したエネルギー基本計画を閣議決定した11日、中国電力が上関原発建設を計画する上関町では、推進派が「新増設への地ならしができた」と評価した。反対派は「福島の事故を忘れようとしている」と原発回帰を鮮明にする政府を非難した。(井上龍太郎)

 基本計画は上関を含む原発新増設に触れていない。それでも、推進派の上関町議8人でつくる原電推進議員会の右田勝会長(72)は「再稼働を盛り込んでおり十分。資源の少ない日本で原子力発電は欠かせない」と基本計画を評価した。

 町が見込む本年度の原発関連交付金は一般会計で6700万円。2年続けて1億円を割る見通しだ。「国は再稼働の次に上関原発を進めてくれるはず。原発財源抜きに町は成り立たない」と語る。

 中電が福島第1原発事故後に準備工事を中断し、3月で丸3年。原発計画浮上からは32年になる。柏原重海町長は「新増設に触れていない。上関原発の見通しはいまだ不透明」とコメントした。

 一方、上関原発を建てさせない祝島島民の会の山戸貞夫前代表(64)は基本計画を「福島の事故を忘れ、経済至上主義で原発を推し進めようとしている」とし、「新増設の位置付けが見えず、反対、推進の双方とも身動きが取れない。町の衰退を進ませる国の責任は重い」と批判した。

 中電は11日、建設予定地の公有水面埋め立て免許の延長申請で県が求めた5度目の補足説明の回答文書を県に郵送。これを受けて村岡嗣政知事が延長の可否を判断する。山戸前代表は「知事の姿勢がはっきりしない。地元にとって中途半端の状態が続く」と話した。

(2014年4月12日朝刊掲載)

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