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閣議決定のエネ基本計画 中国地方の受け止め 島根・「政府は十分な説明を」 山口県上関・新増設触れず賛否交錯

 原発の再稼働方針を明記したエネルギー基本計画に、中国電力島根原発(松江市)の地元はより詳しい説明を求め、反対派は憤りの声を上げた。原発の新増設については触れられず、中電が上関原発を計画する山口県上関町では、賛否が交錯した。

 島根県の溝口善兵衛知事はコメントで「安全性が確認された原発は再稼働を進めると明記されたが、具体的な手続きが明らかでない」と指摘。「政府は十分な説明をしてほしい」と求めた。松江市の松浦正敬市長も「再稼働するなら国はまず安全性をしっかりチェックしてほしい」と要請。「原発の依存比率をいつまでにどの程度引き下げるのか、目標値を示してほしかった」と、将来の電源比率が示されなかったことには不満を示した。

 市民団体「さよなら島根原発ネットワーク」の杉谷肇共同代表(72)は「国民の多くが再稼働に反対する中、再稼働を進めるのはおかしい」と憤った。

 上関町では、新増設の方針に触れていない基本計画に対し、反対派で上関原発を建てさせない祝島島民の会の清水敏保代表(59)が「福島の原発事故は何一つ解決していないのに、新増設ゼロを明記せずおかしい」と異議を唱える。推進派で上関町商工事業協同組合の柏田真一代表理事(38)は「まず再稼働で原発の安全性を示し、その後は新増設を進めて」と願った。

 建設反対の集会を3月に山口市で開いた実行委員会の共同代表で、児童文学作家の那須正幹さん(71)=防府市=は「新設は常識的にあり得ない」と強調した。

 原子力など将来の電源比率は「速やかに示す」とされ、山口県の村岡嗣政知事は「国の動向を注視したい」とコメントした。

(2014年4月12日朝刊掲載)

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