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窓からドーム 願いかみしめ 「平和への誓い」を読む小6高松さん

■記者 金崎由美

 8月6日に広島市が営む平和記念式典で、「平和への誓い」を読み上げる中区大手町、袋町小6年高松樹南(みきな)さん(11)の自宅は、平和記念公園に隣接する西向寺。自分の部屋の目の前にある原爆ドームは日常に溶け込む。爆心地近くに暮らす「広島の子」が平和への願いを世界に発信する。

 高松さんは、9480点の応募作文から子ども代表の一人に選ばれた。式典で約4分間、古田台小6年横林和宏君(11)=西区=とともに「誓い」を読む。

 作文「世界が平和になるために」は、昨年の「歌会始の儀」に最年少で入選した福岡県の中学生のエピソードを書いた。

 中学生は2008年8月に西向寺などを訪れ、被爆の実態に触れた衝撃を短歌にした。高松さんは昨年3月、寺を再訪した中学生と対面。熱線で表面がざらついた境内の被爆墓石を何度も指で触れる姿に「自分が恥ずかしくなった」という。

 宿題をし、大好きなピアノを弾く部屋からはいつも原爆ドームが見える。原爆で曾祖母らが犠牲になり、消失した本堂の再建に門徒が奔走したことも聞かされてきた。でも「爆心地に住むことに慣れすぎていた。『平和』という言葉を、深く考えずに使っていたと気付いた」。

 そして作文には「平和な世の中を築いていくために大切なことは、過去に起きた悲惨な出来事を忘れないで次の世代に伝えること」と書いた。

 もうすぐ本番。母の弥子(みつこ)さん(40)に「自分の思いを込めて堂々と役目を果たす」と誓う。

(2010年7月28日朝刊掲載)

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