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8・6式典 ルース米大使、出席へ 慰霊碑献花も検討

■記者 増田咲子、林淳一郎

 被爆65年となる8月6日に広島市が営む平和記念式典に、米国のジョン・ルース駐日大使が出席する方向で最終調整していることが28日、分かった。原爆投下国の米国からは初の出席となる。「核兵器のない世界」を唱えるオバマ米大統領の方針を受けた動きとみられる。

 地元関係者や外務省筋によると、米国の政府代表として出席。原爆慰霊碑への献花も検討しているという。広島市は核兵器保有国を含め、国内に大使が常駐する149カ国へ案内状を送付した。米国からの正式な返答はまだという。

 ルース大使は昨年10月、中区の原爆資料館を見学し「ともに力を合わせ、核のない世界の平和と安全保障を求めることの大切さを強く感じさせてくれる」と感想を述べた。

 今年の平和記念式典には、米国のほか核保有国の英国、フランスも初めて参列する意向を示している。フランスは公使、英国も公使クラスが出席する方向で調整しているという。ロシアは11年連続で参加。中国からは既に欠席の返事が届いている。


広島県被団協(坪井直理事長)の池田精子副理事長(77)の話 

原爆投下 謝るべき

 原爆投下国の考えも開かれてきたように感じる。8月6日は特別な日。被爆者が流す鎮魂の涙を見て、原爆投下がどんなに大きな出来事だったか、かみしめてもらいたい。ざんげの気持ちで謝るべきだとも思う。あらためて核兵器廃絶を誓う日にしてほしい。

広島県被団協の金子一士理事長(84)の話 

過ち 率直に認めて

 本音を言えば、オバマ大統領に来てほしい。ルース大使には米国の代表として被爆の実態を肌で感じ、人類に背いた過ちを率直に認めて原爆犠牲者に謝ってもらいたい。米国で根強い「原爆投下は正しかった」との考え方もあらため、核兵器廃絶に向けた大胆な行動につなげてほしい。

(2010年7月29日朝刊掲載)

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