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波紋 特定秘密保護法 地方議会 運用危ぶむ 「廃止」意見書相次ぐ 自民系にも批判くすぶる

 中国地方を含めた全国の地方議会が、特定秘密保護法の廃止や慎重な運用を国に求める意見書を相次いで可決している。「知る権利」を損なう恐れがある同法への懸念が背景にある。意見書が否決された議会でも、自民党系の議員の一部が賛成に回るなど、政権与党の自民党にも批判の声はくすぶる。広島県内では、市民団体が県と全23市町議会に同法反対の「意思表示」を働きかける方針だ。(胡子洋)

 参議院事務局によると、同法をめぐる全国の地方議会からの意見書の受理件数は、昨年12月6日の法成立前が28件、成立後は今月25日までに173件に上る。成立前は慎重審議、成立後は廃止や慎重な運用を求める内容が多いという。

 中国地方では法成立後の昨年12月、米子市議会が「特定の情報を政府が恣意(しい)的に秘密指定でき、国民が必要とする情報が隠される恐れがある」として法の廃止と抜本的改正を求める意見書を可決、国に送った。

 島根県吉賀町議会は、短時間で審議を打ち切った自公政権を批判。「憲法の基本原則をことごとく蹂躙(じゅうりん)する」として、法の撤廃を求めた。石破茂自民党幹事長のお膝元でもある鳥取県議会は、法の慎重な執行を求める意見書を可決した。

 一方、三次市議会では、同法の廃止を求めて共産党や旧社会党系の市議が提案した意見書案が否決された。ただ、自民党系からも賛同者が出て、賛成11、反対14と僅差だった。賛成した自民党系の桑田典章市議は「秘密保護法や憲法解釈変更など、数の力で押し切ろうとする安倍政権の怖さも感じる」と打ち明ける。

 広島県内では法成立後、広島市議会が昨年12月に法の適正運用と撤廃を求める二つの意見書案を否決するなど、可決した自治体はない。市民団体「秘密法廃止!広島ネットワーク」は「他の都道府県に比べ、広島は動きがない」と指摘。近く県議会と23市町議会に秘密保護法の廃止を求める意見書を提案、可決するよう求める要望書を提出する。

(2014年4月29日朝刊掲載)

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