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国連総長、核廃絶に意欲 広島・長崎市長と会談 「最優先事項の一つ」 前向きに取り組む

 核拡散防止条約(NPT)再検討会議の第3回準備委員会に出席するため米ニューヨークを訪れている広島市の松井一実市長と長崎市の田上富久市長は28日、国連本部で潘基文(バンキムン)事務総長と会談した。両市長は核兵器廃絶へ指導力の発揮を要請。潘事務総長は廃絶を「最も優先順位の高い事項の一つ」と応じ、意欲を示した。 (ニューヨーク発 田中美千子)

 約30分間の会談は冒頭を除き非公開。両市長は、核兵器を「非人道兵器の極みであり絶対悪」と断じ、核兵器禁止条約の具体的な交渉開始へリーダーシップを執るよう促す要請書を渡した。平和首長会議(会長・松井市長)がこの1年間で集めた条約実現を求める約21万人分の署名も添えた。

 終了後、両市長によると、潘事務総長は2010年8月に訪れた両被爆地について「心を動かされ、強く印象に残っている」と述べ、廃絶に向けた役割の大きさを強調。両市長を激励した。核をめぐる国際情勢の厳しさを指摘しつつも「好転を期待して前向きに取り組む」と表明した。また、松井市長が被爆70年となる15年に被爆地を再訪するよう求めたのに対し、検討する意向を示したという。

 初めて面会した松井市長は「被爆地の思いは伝わった」。田上市長も「両市と連携したいとの思いを感じた」と話した。

 会談には、両市の高校生と大学生の計2人も同席した。広島平和文化センターから派遣された広島女学院高3年今井穂花(ほのか)さん(17)は「若い世代が被爆の記憶を継承することが大事だと励まされ、一層、意欲が湧いた」と喜んだ。

(2014年4月30日朝刊掲載)

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