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社説・コラム

核のリスク 認識広める クメント軍縮軍備管理不拡散部長に聞く オーストリアで12月に国際会議

 核兵器の非人道性に焦点を当てて非合法化を訴える国と、段階的な軍縮を訴える国の意見の隔たりは、米ニューヨークでのNPT再検討会議第3回準備委員会でも浮き彫りになっている。12月8、9両日にオーストリア・ウィーンで第3回「核兵器の人道的影響に関する国際会議」を開く、同国外務省のアレクサンダー・クメント軍縮軍備管理不拡散部長に会議の狙いを聞いた。 (ニューヨーク発 田中美千子)

 ―核兵器の非人道性に関する国際会議になぜ力を入れるのですか。
 核兵器は史上最悪の破壊力を持つ。存在する限り人類の安全は保障されない。なのに保有国は核軍縮の義務を十分果たさないばかりか、核兵器の高性能化を進め、永久に持ち続けようとの姿勢も透ける。廃絶は喫緊の課題との認識を広め、軍縮に弾みをつける必要がある。それをオーストリアは有志国と後押ししたい。

  ―核兵器に頼る国は非合法化につながる非人道性議論に警戒を強めています。
 警戒されるようなものではない。核兵器廃絶に到達する方法は核兵器禁止条約、今ある核の使用禁止、段階的な核軍縮など幅広い。核兵器が一部の国々の安全保障政策に関わることも理解しており、どの手法をとるかはこれからの議論だ。

  ―2月にメキシコが開いた第2回の国際会議では、「法的拘束力を持つ国際規範」による非合法化を促す議長総括を発表しました。
 今度の会議は特定の法的措置に焦点を当てるつもりもない。何とか廃絶に近づこうとの意識を高めるのが大事だ。事実に基づき、核のリスクと問題の緊急性について認識を広めたい。

  ―日本への期待は。
 あらゆる国から核問題の専門家、国会議員、市民団体の参加を募る。日本政府からも頻繁に連絡があり、関心は高いのだろう。メキシコでの会議では私自身、被爆証言に感銘を受けた。被爆者は核兵器使用は罪だと教えてくれる。ウィーンにもぜひ来てほしい。

(2014年5月4日朝刊掲載)

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