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NPT 日本政府代表で出席 佐野軍縮大使に聞く 「5ヵ国 報告内容の充実を」

情報透明性に差 公表努力は評価

 NPT再検討会議の第3回準備委員会に日本政府代表として出席している佐野利男軍縮大使が6日、中国新聞のインタビューに応じた。核兵器を持つ5大国が準備委に提出した軍縮の取り組み報告書について「一歩前進だが、国によって情報の透明性や内容に濃淡があり、十分と言えない」と指摘。軍縮を進める上での基礎情報として充実を求める意向を示した。(ニューヨーク発 田中美千子)

 NPTに基づく核保有国の米国、ロシア、中国、英国、フランスによる報告義務は、2010年の前回再検討会議で採択された最終文書に、日本の働き掛けで盛り込まれた。各国は事前に独自の標準様式を用意し、2日までに相次ぎ文書を公表した。

 佐野大使は「初めての試み。努力は評価する」と歓迎。しかし「最新の核弾頭数を明かさなかった国がある」「米国以外の国は核分裂性物質の保有量に言及しなかった」などの点が不十分とし、報告の定期化と内容の充実を引き続き要請する考えを述べた。

 一方、非核兵器保有国から訴えが相次いだ核兵器の非合法化に関しては「国際社会はまだ、核兵器禁止条約の交渉に入る成熟した状況にない」と強調。「北東アジアの環境は厳しい。国の安全保障を考えながら現実的な措置を一歩ずつ積み重ねる方が廃絶への近道だ」と、従来の政府見解を繰り返した。

 これに関し、オーストリア政府が12月にウィーンで開く第3回「核兵器の人道的影響に関する国際会議」には「事実をベースに議論し、非人道性についての理解を広める場にしてほしい」と注文。日本政府の出欠については「議事日程が決まらないとコメントできない」と明言を避けた。

(2014年5月8日朝刊掲載)

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