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国に賠償命ずる地裁判決が確定 岡山原爆症訴訟

 ずさんな審査で原爆症の認定申請を却下したのは違法として岡山県の男性(72)が国に慰謝料などを求めた訴訟で、国は7日までに30万円の支払いを命じた岡山地裁判決に控訴せず、判決が確定した。

 男性は原爆投下当時、爆心地から約5キロの長崎市郊外に疎開。父や兄を捜して投下の直後から母親らと爆心地から約400メートルの市内に通った。前立腺がんなどを患い、2008年に原爆症の認定を申請した。

 被爆者健康手帳には疎開場所が被爆地と記載してあったが、申請書類には入市の証明書を添付していた。しかし、国は審査の過程で見落とし、原爆症に該当しないと却下。男性の異議申し立ても棄却した。男性は11年に提訴した。

 原告側代理人の「ノーモア・ヒバクシャ岡山訴訟弁護団」によると、原爆症認定をめぐり国家賠償が認められたのは3例目。国の過失による賠償は初という。倉敷市の近藤剛団長は「国が控訴しないのは当然だ。提訴から国がミスを認めるまで約2年半もかかり、男性が負った苦痛は大きい」と主張している。

(2014年5月8日朝刊掲載)

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