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NPT準備委は勧告断念 作業文書示し閉幕

 米ニューヨークの国連本部で開かれていた2015年の核拡散防止条約(NPT)再検討会議に向けた第3回準備委員会は9日、閉幕した。来年の再検討会議の討議テーマや道筋を示す「勧告」については、各国の意見が一致せず採択を断念した。代わりにエンリケ・ロマン・モレイ議長(ペルー)が各国の主張をまとめ、「核兵器のない世界」実現へ議論を求める「作業文書」を提出した。(ニューヨーク発 田中美千子)

 作業文書は勧告より弱く、再検討会議の「参考資料」にとどまる。ロマン・モレイ議長が示していた勧告草案を修正した。再検討会議で核兵器保有国の軍縮を進める方法の検討を要請。核兵器の非人道性への言及や、核兵器を法的に禁じる枠組みの交渉検討など各国の意見を列挙している。

 8日の全体会議は勧告草案の修正要求が相次ぎ紛糾。核兵器の非人道性をめぐり、複数の国が記述の強調を求めたのに対し、核兵器保有国のフランスは非人道性を取り上げること自体を疑問視した。日本の佐野利男軍縮大使は北朝鮮の核問題で「核開発計画への懸念」にしか触れていない点に、「弾道ミサイル開発にも憂慮を示し、発射を自制するよう明記すべきだ」と訴えた。

 ロマン・モレイ議長は「作業文書」について「来年の交渉の土台にしてほしい」と求めている。

 準備委は5年に1度の再検討会議の合間にあり、最終回のことしは4月28日から討議した。再検討会議は来年4月27日~5月22日に国連本部である。

(2014年5月10日朝刊掲載)

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