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キリバスの悲劇知って 戦没者遺族の会 山口県周防大島・郡会長 「ゆかりの人は連絡を」

 太平洋戦争の激戦地となった中部太平洋の島国キリバスの戦没者遺族らでつくる「キリバス友の会」の会長、郡義典さん(86)=山口県周防大島町=が、「悲劇の歴史をもっと知ってほしい。キリバスにゆかりのある人は連絡を」と呼び掛けている。

 キリバスでは1943年11月、後に首都となるタラワにいた旧日本軍が、米軍の激しい攻撃を受けた。郡さんによると、約4700人が全滅したという。現地には今も、砲台跡や司令部壕(ごう)などが残る。収容されていない遺骨も多いという。

 海軍1等飛行兵曹だった郡さん。戦後、カツオやマグロ漁の漁船員として38年間働いた後、89年に国際協力機構(JICA)からタラワのマリン・トレーニング・センター(海員学校)に派遣された。

 95年までの6年半、タラワで漁業科主任として指導にあたった。帰国後の97年、現地で知り合った日本兵の遺族から「組織だった供養をしたい」との声を聞き、友の会を設立。会長となった。「玉砕の島に赴任したのも何かの縁。無残な写真を目にする機会も多かった」と振り返る。

 友の会は総会開催や会報の発行、慰霊の旅などを続けている。ただ、発足時に150人いた会員も現在は80人に減った。中国地方は郡さんを含め3人だけという。

 郡さんは昨年12月、周防大島町東安下庄に住む次男の家に三重県志摩市から移り住んだ。「遺族の高齢化によって戦争体験の風化が進む中、戦争の愚かさを次の世代に伝えたい」と誓っている。郡さんTel090(5876)2057。(久行大輝)

(2014年5月12日朝刊掲載)

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