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広島映画センター活動中止 資金難 平和教育にも貢献

 平和や反核をテーマにした映画の企画製作や上映会の開催をしてきた広島映画センター(広島市中区)が資金繰りに苦しみ、活動を中止していることが13日、分かった。平和教育や映画の魅力発信に貢献してきただけに、関係者からは残念がる声が上がっている。(余村泰樹)

 同センターは、優れた映画を届けようと、1970年代に全国各地にできた映画センターの一つ。広島市の映画観賞サークルの会員たちが中心となって72年に設立し、79年に株式会社化した。映画館のない地域で出張上映するなど映画文化の向上を図ってきた。

 映画作りでは、原爆孤児の成長劇「青葉学園物語」、アニメ「かっ飛ばせ! ドリーマーズ・カープ誕生物語」「はだしのゲン・2」などを企画。米国から記録フィルムを買い、原爆映画を作る10フィート映画運動の事務局も担った。

 76年には、広島平和教育研究所と共同で「広島平和教育映画ライブラリー」を設置。所有作品の貸し出しとともに、授業での使い方を記した手引書を作るなど平和教育にも力を注いだ。

 関係者によると、近年は平和教育などでの映画活用が下火に。デジタル化も響き、80年代に年間25万人を超えた有料鑑賞者は激減。全国の映画センターでつくる映画センター全国連絡会議(東京)の会費やフィルム貸出料の支払いも数年前から滞っていたという。

 「ヒロシマから平和映画を発信し、役割は大きかった。連絡会議発足当初からのメンバーでもあり、寂しい」と同連絡会議の竹内守代表(61)。広島映画センター設立に関わった小森敏廣さん(71)=広島市南区=は「良作を広く届けてきた」と残念がった。

(2014年5月14日朝刊掲載)

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