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8・6平和宣言 「核の傘」離脱求める 広島弁で被爆者の声

■記者 増田咲子

 秋葉忠利広島市長は2日、被爆65年の平和記念式典(6日)で読み上げる「平和宣言」の骨子を発表した。2020年までの核兵器廃絶を目指し「核の傘」から離脱するよう被爆国日本政府に求める。また、惨劇を二度と繰り返さないよう願う被爆者の思いを初めて広島弁で世界に訴え掛ける。

 宣言では日本政府に対し、核の傘からの離脱のほか、非核三原則の法制化、黒い雨の降雨地域の拡大、高齢化した内外の被爆者へのきめ細かい援護策を求める。さらに菅直人首相には、核兵器保有国の首脳に廃絶の緊急性を訴え、核兵器禁止条約締結の音頭を取るよう要請する。

 秋葉市長は2日の記者会見で、広島弁を使うことについて「被爆者の気持ちをより強調することにつながる」と説明した。

 宣言ではこのほか、5月の核拡散防止条約(NPT)再検討会議の最終文書が「大多数の締約国が期限を区切った核兵器廃絶の取り組みに賛成している」などを盛り込んだ点を評価。背景に、国連の潘基文(バンキムン)事務総長のリーダーシップやオバマ米大統領、全米市長会議などの活動があったと指摘する。

 さらに、7月下旬に広島市で開いた2020核廃絶広島会議が採択した「ヒロシマアピール」にも触れ、市民や都市が各国政府などと協力し「2020年までの廃絶に向け、さらに大きなうねりをつくる」との決意を表明する。


平和宣言の骨子

・65年前の惨劇を繰り返すことのないよう被爆者とともに決意を新たにする
・NPT再検討会議の最終文書に市民社会の声が盛り込まれたのは潘基文国連事務総長やオバマ
 米大統領らの活動による
・日本政府に非核三原則の法制化、「核の傘」からの離脱、きめ細かい被爆者援護策を求める
・菅直人首相に核兵器禁止条約締結の音頭を取るよう訴える
・市民や都市は、2020年までの核兵器廃絶のため、さらに大きなうねりを作る

(2010年8月3日朝刊掲載)

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