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ヒバクシャ語る 非人道性 東京のNPO 映像作品発信へ

 NPO法人ノーモア・ヒバクシャ記憶遺産を継承する会(東京)が、原爆の非人道性に焦点を当てた映像作品の製作を進めている。都内で17日に開いた同会の通常総会で、第1弾の試作品を初公開した。早ければ6月から完成版をホームページ(HP)で発信する。

 被爆者が受けた心の傷を、証言を中心に掘り下げるシリーズ「原爆は、人間として死ぬことも生きることも許さなかった」の第1弾で約30分。被爆者が、重傷を負った肉親や知り合いを置き去りにして逃げた様子や当時の出来事を引きずる心境を語る。原爆資料館(広島市中区)が収蔵する原爆の絵や字幕も交え、見やすさに工夫を凝らした。

 第1弾に登場した代表理事の岩佐幹三さん(85)=千葉県船橋市=は、広島市の爆心地から約1・2キロの自宅で被爆。家屋の下敷きになった母を助けられず、炎に追われた。翌日に遺体を見つけて「母を殺してしまった」と号泣し、現在も夢にうなされると告白した。

 今後は、5分程度のシリーズ作品をさまざまな切り口から作る。英語の字幕も加え、動画投稿サイトユーチューブに転載し、海外にも広く伝える。

 伊藤和久事務局長は「被爆者が心の奥にしまっている記憶や感情は語るのも聞くのも大変でつらいが、非人道性を知る上で避けては通れない。ぜひ多くの人に接してほしい」と話している。同会のHPはhttp://kiokuisan.com(藤村潤平)

(2014年5月18日朝刊掲載)

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