×

ニュース

世界の核状況

 1945年8月。広島と長崎を襲った一瞬のせん光は20万人を超える命を奪い、生き延びた者にもその後、放射線障害の苦しみを与え続けた。核時代の始まりである。

 この2回の核攻撃を行った米国に続き、ソ連、英国、フランス、中国が相次いで核兵器を保有した。80年代後半には世界の核兵器の数は7万発に達した。98年にはインドとパキスタンも核保有を宣言した。イスラエルと北朝鮮も事実上の核保有国とされている。

 スウェーデンのストックホルム国際平和研究所(SIPRI)の2007年版年鑑によると、現在世界にある2万6000発以上の核兵器のうち、推定で一万千五百三十発がミサイルや航空機からすぐ発射できる一触即発態勢のもとに置かれている。その90%以上は、米国と、ソ連の軍備を引き継いだロシア両国のものだ。

 7万発から2万7000発へ。核兵器の数は減ってはいるものの破壊力は格段に増し、小型化による「使いやすさ」も向上した。保有国が増えれば不用意な核使用や地域的な核戦争、テロリストが核を入手する恐れが増す。核兵器が使われる危険は今低下するどころか、むしろ高まっている。

 しかし、闇の中に光も見える。核兵器の保有、配備を禁止する非核兵器地帯の設置が全世界で進み、南半球の大半が覆われている。被爆地の広島、長崎両市は平和市長会議のかじ取り役として、2020年までの核兵器全廃を目指し活動を続けている。

 核兵器廃絶は今なお人類の巨大な課題であり続けている。九月に広島で開かれる主要国(G8)議長サミットでどんなメッセージが世界へ発信されるか、期待したい。

年別アーカイブ