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同じリスクある/影響は限定的 島根原発訴訟の原告ら 大飯差し止め命令

 関西電力大飯原発3、4号機の再稼働を認めないとした21日の福井地裁判決を受け、中国電力島根原子力発電所(松江市鹿島町)の運転差し止め訴訟を松江地裁に起こしている原告団は「再稼働へと進む政府に待ったをかける画期的な司法判断だ」と歓迎した。

 「再稼働を目指す政府には重く受け止めてほしい」。島根原発で建設中の3号機について、昨年4月に運転差し止めを提訴した原告団428人の共同代表井口隆史さん(71)=松江市=は話した。「事故の際の避難計画に実効性がないのは全国共通の課題だ」と付け加えた。

 判決は、関電の想定より大きな地震が起こる可能性を指摘した。島根1、2号機の運転差し止め訴訟の原告団代表として、原発近くの宍道断層の危険性を訴え続ける芦原康江・松江市議(61)は「島根にも同じリスクがある。地震の揺れを動かせない理由とした点に価値がある」と評価した。

 原発稼働への同意・不同意を判断する同市の松浦正敬市長は「直ちに再稼働できなくなるわけではない。他の原発への影響はすぐには出ない」と影響は限定的との見方を示した。

 一方、事故に備える島根原発30キロ圏の鳥取県の平井伸治知事は「警鐘だ。安全性をよほど慎重に判断しないとこのような判決が出る」と新規制基準への適合性審査を進める原子力規制委員会をけん制した。

 規制委の適合性審査を受けている島根2号機の再稼働への影響について、中電広報部門は「判決内容などが分からないため、島根2号機への影響があるかどうかは判断できず、コメントできない」としている。

(2014年5月22日朝刊掲載)

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