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被爆新展示 まずCG化 広島の原爆資料館 HP公開を検討

 原爆資料館(広島市中区)の全面改修に伴う展示見直しで、市は22日、被爆の惨状を伝える新たな本館展示のイメージ映像を発表した。市ホームページ(HP)などでの公開を検討するという。

 コンピューターグラフィックス(CG)で約1分。ルート変更で、前半に訪れる本館の「被爆の実相」ゾーンの冒頭を見学者目線で紹介している。廃虚となった広島の街の写真を背景に、亡くなった人が身に着けていた衣服や、やけどを負った人の写真が多数並ぶ「集合展示」もある。1発の原爆が街を破壊し、多くの市民の命を奪った非人道性を訴える狙い。

 市は見直し後、本館の常設展示を被爆者の遺品や写真など「実物資料」中心にする方針で、すでに約340点をリストアップした。市の調査では平均見学時間約45分のうち、今はルート後半にある「被爆の実相」は19分にとどまるが、見直し後は30分程度まで延びると見込んでいる。

 ただ、今ある被爆者の姿を再現した人形の撤去方針には市民に反対の声も根強いため、市は「原爆の非人道性や破壊力をより強く伝える内容になる」として、この日、展示の全体像をあらためて説明した。今後は映像に加え、展示予定の遺品などもHPで紹介できないかを詰めるという。

 原爆資料館は3月から改修作業に着手。9月1日からは東館の常設展示を閉じて工事を進める。2016年春の東館完了後は本館を閉館して工事し、18年春の全面オープンを目指す。(岡田浩平)

(2014年5月23日朝刊掲載)

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