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核なき世界誓い風通し 広島 原爆死没者名簿105冊

 広島市中区の平和記念公園で22日、原爆慰霊碑の石室内に納められた計105冊の原爆死没者名簿を外気に当て、劣化を防ぐ「風通し」の作業があった。

 雲一つない青空の下、市職員18人が碑前に白い布を敷き、石室から取り出した名簿を並べた。1枚ずつページを繰り、梅雨入り前のそよ風にさらした。

 名簿は昨年より2冊増えた。103冊には、昨年8月5日までに死亡が確認された広島の被爆者28万6818人の名前を記載。別の1冊は遺族が奉納を希望した長崎の被爆者9人の名前が記され、もう1冊には「氏名不詳者多数」とだけ書いてある。

 愛媛県今治市から修学旅行で訪れた小学6年光藤翔矢君(11)は「たくさんの名簿があって原爆の怖さを感じた。学校に行ったり遊んだりできる平和が続いてほしい」と作業を見つめた。

 作業後、市職員は清掃を終えた石室に103冊を戻した。広島と長崎の各1冊を残し、昨年8月6日以降に亡くなったり、新たに死亡が確認されたりした被爆者の名前を6月中旬から記帳。8月6日の平和記念式典で碑へ納める。(田中美千子)

(2014年5月23日朝刊掲載)

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