×

ニュース

被爆建物 絵筆で刻む 広島の藤登さん 画集を自費出版

■記者 金崎由美

 広島市安芸区のアマチュア画家藤登弘郎さん(74)=写真=が被爆65年を機に、広島と長崎の被爆建物の画集を自費出版した。500部を印刷。近く市内の小中学校などに寄贈する。

 退職前に趣味で水彩画を始め、全国の近代化遺産などをスケッチしてきた。4年ほど前、老朽化に伴い徐々に姿を消す被爆建物に注目。爆風や熱線を耐え抜いた「無言の被爆証人」を、淡い色彩で表現している。

 広島護国神社にある旧中国軍管区司令部など広島市内90の建築物のほか、長崎の建物などを収録した。

 被爆建物は民間が所有していることが多く、保存には困難がつきまとう。「だからこそ自分なりの表現で記録したい。画集をきっかけに、戦争で何が起こったかを感じ取ってもらえれば」と話す。

 B5判125ページ。多くの人に見てもらうため、市立、県立図書館などにも寄贈する。販売はしない。

(2010年8月4日朝刊掲載)

年別アーカイブ