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亡き親しのび 支え合い 「きのこ会」広島で総会

 原爆小頭症患者や家族、支援者でつくる「きのこ会」は24日、年1回の総会を広島市東区で開いた。3月、患者の川下ヒロエさん(68)=東区=の母兼子さんが92歳で他界し、同会が把握する患者の親はいなくなった。出席者は亡き親たちをしのび、今後の支え合いをあらためて約束した。

 広島、廿日市、三次の3市の患者9人を含む約40人が集まった。冒頭、兼子さんを悼み、全員で黙とう。ヒロエさんは「天国からずっと見守っていてほしい」と涙し、支援者も「まな娘の将来をいつも案じていた」と振り返った。

 患者9人の68歳の誕生会も開かれ、ケーキを分け合い、この一年の無事を喜んだ。支援者も「今後も元気でいてもらおう」と助け合いを誓った。

 小頭症患者は、妊娠初期の母親の胎内で被爆した影響で生まれつき知的、身体障害がある。昨年3月末現在、全国の患者数は20人。1人暮らしが難しい人もいるが、きょうだいも老いが進む。きのこ会の長岡義夫会長(65)=安佐南区=も患者の兄がいる。「願いは患者たちに余生を安心して、穏やかに過ごしてもらうこと」と強調。専任の相談員がいる広島市に比べ、支援が行き届かない自治体もあるとして、国に地域差の解消を求める考えを示した。(田中美千子)

(2014年5月25日朝刊掲載)

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