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原爆伝える遺品集 呉の中学教諭 是恒さん編著

 被爆者の遺品や熱線で焼けた瓦などの資料を紹介し、原爆や戦争の悲惨さを伝える児童書が汐文社(東京)から出版された。「平和を考える 戦争遺物」シリーズの第5巻「広島・長崎・空襲」。編著者を務めた呉市の中学教諭、是恒高志さん(60)=写真=は「被爆者が高齢になる中、記憶の継承に役立ててほしい」と願う。

 広島、長崎両市の原爆資料館などから提供を受けた約90枚の写真を使い、幅広い資料を取り上げた。建物疎開作業中に犠牲になった女学生の夏服、黒焦げの弁当箱、被爆者が見た光景を描いた絵…。それぞれについて持ち主の被爆状況や遺族の思いがつづってある。

 東京都や三重県の教諭も執筆に参加。米軍の爆撃機の機銃の薬きょうや鉄板に残る弾痕を通じ、空襲の恐ろしさも伝えている。

 是恒さんは歴史教育者協議会(東京)に所属。自らの祖母と叔母が被爆死しており、平和教育の重要性は教職に就いた当初から感じていたという。汐文社から執筆を依頼された昨年1月以降、資料を保管していた遺族を訪ね歩き、聞いた話も盛り込んだ。「消えることのない遺族の無念さに思いをはせてほしい」と話している。

 B5判、55ページ。3024円。汐文社Tel03(6862)5200。(田中美千子)

(2014年5月26日朝刊掲載)

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