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故中沢さんの詩で書道交流 美鈴が丘高部員と作曲家山本さん 「広島 愛の川」 平和への思い新た

 漫画「はだしのゲン」の作者、故中沢啓治さんの未発表詩「広島 愛の川」に感銘を受けた広島市佐伯区の美鈴が丘高の書道部員が25日、詩を大書した作品を制作した。詩に曲をつけた作曲家山本加津彦さん(34)=東京都三鷹市=も立ち会い、平和への思いが広がるように願った詩の意味をかみしめ合った。(明知隼二)

 3年生の部員7人は、山本さんが作曲し、歌手加藤登紀子さんが歌う「愛の川」を聴いてイメージを膨らませると筆を取り、縦85センチ、横170センチの和紙に向き合った。「語ろうよ川に向って/怒り、悲しみ、優しさを」(原文のまま)。フレーズを分担し、1~3番の全文を6枚にわたって書き上げた。

 3年の曽根文香部長(17)は「歌を初めて聴いて詩の理解が深まり、力強く書けた」。躍動する墨書に仕上げ、満足そうに話した。

 部員たちは文化祭の展示を考えていたとき「愛の川」に曲をつける山本さんの取り組みを知った。「広島の高校生として中沢さんの思いを広められれば」と作品にする詩の使用許可を取る過程で、同高の計画を知った山本さんが交流を持ち掛けた。

 山本さんは「中沢さんの思いを若い世代に届けるにはいろいろな方法があると高校生から教わった。これからつくる合唱版の構想に生かしたい」と気持ちを新たにしていた。

 作品は1、2年生部員がつくった「愛の川」をイメージした灯籠と併せ、6月14日に同高である文化祭で展示する。山本さんが作曲したCDは同25日に発売を予定している。

(2014年5月26日朝刊掲載)

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