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16年サミット 広島誘致へ 松井市長 検討表明 夏にも最終判断 米大統領 初訪問も

 広島市の松井一実市長は26日、市役所で記者会見し、2016年に日本で開催予定の主要国(G8)首脳会議(サミット)の誘致に向け、検討を始めたことを明らかにした。政府は今夏以降に開催候補地を募り、来春にも最終決定する方針。市が名乗りを上げ、選ばれれば、原爆を投下した米国のオバマ大統領をはじめとした核兵器保有国のトップが被爆地に集うことになる。(加納亜弥)

 松井市長は「世界の為政者が被爆の実相に触れ、施策展開に生かしてもらうのに、これほどいい機会はない」と立候補に意欲を表明。市役所で会談後、ともに記者会見した広島県の湯崎英彦知事も「サミットを機会にヒロシマの思いを共有してもらうことは非常に意義深い」と述べ、県市連携での誘致に前向きな姿勢を示した。

 外務省は夏にも、必要な宿泊施設の規模など開催地の条件を決め、各自治体に通知する。市はそれらを満たせるかどうかを慎重に検討し、立候補の是非を最終判断する。

 サミット8カ国のうち米国、ロシア、フランス、英国の4カ国は核兵器を持つ。特に、16年のサミットは「核兵器のない世界」を掲げる米国のオバマ大統領の今任期(17年1月)で最後の開催となる見通し。被爆地訪問が実現すれば、米国の現職大統領として初となる。

 16年サミットをめぐっては、長野県軽井沢町が3月に誘致を表明。神戸市も、誘致の取り組みを求める市議会の決議を受け、情報収集を進めている。

G8サミット
 日本、米国、英国、フランス、ドイツ、イタリア、カナダ、ロシアの8カ国で構成。Gは「グループ」の頭文字。第1次石油危機などへの対策を協議するため1975年に始まり、カナダが76年、ロシアが98年に正式に加わった。各国が毎年、持ち回りで開催。2014年はロシアのソチで開かれる予定だったが、同国がクリミア編入を強行したため、グループから暫定的に排除。G7サミットとして6月にベルギー・ブリュッセルである。15年はドイツ・エルマウに決定。日本では過去5回開催され、当初3回は東京だった。00年は沖縄県名護市、08年は北海道洞爺湖町と地方開催が続いている。

(2014年5月27日朝刊掲載)

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