圏外避難に21~42時間 原発30キロ圏で島根・鳥取県試算 23ケース想定
14年6月2日
中国電力島根原子力発電所(松江市鹿島町)が立地する島根県と隣接する鳥取県は30日、原発事故が起きた際の避難時間シミュレーションを公表した。原発5キロ圏から順に避難する5段階避難を軸に、冬場や観光客のピーク時など23ケースで最初の避難指示からの総時間を試算。原発30キロ圏の約47万人が圏外避難にかかる時間は42時間55分~21時間45分に及んだ。
両県の松江、出雲、雲南、安来、米子、境港の6市47万745人(18万2090世帯)が自家用車18万8500台とバス450台で避難すると想定。国の方針に沿い、9割の車両が30キロ圏外に出た時点を避難完了とした。
最も推奨する5段階避難(夏場の平日昼)は、原発5キロ圏の予防防護措置区域(PAZ)の要援護者、全PAZ、5~10キロ、10~20キロ、20~30キロ圏域の住民の順に逃げた場合で、30キロ圏外への避難に27時間50分かかる。最も渋滞する地点は出雲市多伎町の国道9号。20キロの渋滞を見込んだ。
一斉避難の場合は30キロ圏外への避難完了が21時間45分に短縮される一方、圏域別の避難時間は「5段階避難」と比べ16時間40分~1時間10分膨らんだ。島根県避難対策室は「渋滞がより激しくなるため」とする。
他のケースの主な完了時間は積雪など道路状況が悪い冬場が32時間45分。出雲大社(出雲市)などで初詣客が集中する観光ピークの1月が32時間20分。原発の全電源喪失から27時間後に20キロ圏避難を始めるなど福島第1原発事故と同じ想定では41時間50分(冬場は42時間55分)に達した。
調達のめどが立っていない災害弱者の搬送手段が各施設にあるとするなど、検討課題は試算から除いた。島根県防災部の大国羊一部長は「発展途上の避難計画に沿った試算。実効性を高めるため解決を急ぎたい」と話した。(樋口浩二)
<島根原発30キロ圏の住民避難にかかる時間>
(島根、鳥取県調べ)
5キロ圏の住民が30キロ圏外へ避難 全住民が30キロ圏外に避難
一斉避難 21時間45分
21時間45分
5段階避難(夏場の平日昼) 5時間 5分 27時間50分
観光ピーク時 7時間25分
32時間20分
道路状況が悪い冬場
5時間20分 32時間45分
福島第1原発事故と同じ避難シナリオ 4時間55分(冬場は5時間15分) 41時間50分(冬場は42時間55分)
【注】最初の避難指示からの総時間。5段階避難は5キロ圏の要援護者、5キロ圏の住民、5~10キロ、10~20キロ、20~30キロの順に避難を開始。観光ピーク時は出雲大社などで初詣客が多い1月第1週を想定。実際の福島の事故では20~30キロ圏に避難指示は出ていない
(2014年5月31日朝刊掲載)
両県の松江、出雲、雲南、安来、米子、境港の6市47万745人(18万2090世帯)が自家用車18万8500台とバス450台で避難すると想定。国の方針に沿い、9割の車両が30キロ圏外に出た時点を避難完了とした。
最も推奨する5段階避難(夏場の平日昼)は、原発5キロ圏の予防防護措置区域(PAZ)の要援護者、全PAZ、5~10キロ、10~20キロ、20~30キロ圏域の住民の順に逃げた場合で、30キロ圏外への避難に27時間50分かかる。最も渋滞する地点は出雲市多伎町の国道9号。20キロの渋滞を見込んだ。
一斉避難の場合は30キロ圏外への避難完了が21時間45分に短縮される一方、圏域別の避難時間は「5段階避難」と比べ16時間40分~1時間10分膨らんだ。島根県避難対策室は「渋滞がより激しくなるため」とする。
他のケースの主な完了時間は積雪など道路状況が悪い冬場が32時間45分。出雲大社(出雲市)などで初詣客が集中する観光ピークの1月が32時間20分。原発の全電源喪失から27時間後に20キロ圏避難を始めるなど福島第1原発事故と同じ想定では41時間50分(冬場は42時間55分)に達した。
調達のめどが立っていない災害弱者の搬送手段が各施設にあるとするなど、検討課題は試算から除いた。島根県防災部の大国羊一部長は「発展途上の避難計画に沿った試算。実効性を高めるため解決を急ぎたい」と話した。(樋口浩二)
<島根原発30キロ圏の住民避難にかかる時間>
(島根、鳥取県調べ)
5キロ圏の住民が30キロ圏外へ避難 全住民が30キロ圏外に避難
一斉避難 21時間45分
21時間45分
5段階避難(夏場の平日昼) 5時間 5分 27時間50分
観光ピーク時 7時間25分
32時間20分
道路状況が悪い冬場
5時間20分 32時間45分
福島第1原発事故と同じ避難シナリオ 4時間55分(冬場は5時間15分) 41時間50分(冬場は42時間55分)
【注】最初の避難指示からの総時間。5段階避難は5キロ圏の要援護者、5キロ圏の住民、5~10キロ、10~20キロ、20~30キロの順に避難を開始。観光ピーク時は出雲大社などで初詣客が多い1月第1週を想定。実際の福島の事故では20~30キロ圏に避難指示は出ていない
(2014年5月31日朝刊掲載)