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原爆孤児らの生活紙芝居に 広島市佐伯区の「広島戦災児育成所」舞台 15日に木下さん披露

 広島市佐伯区皆賀の木下数子さん(77)が、自宅そばにあった広島戦災児育成所の歴史や、入所していた原爆孤児たちの暮らしぶりを紙芝居にまとめた。6月15日に地元の五日市東小の体育館で初めて披露する。(有岡英俊)

 タイトルの「童心寺」は子どもたちが参拝した敷地にあった同名の寺にちなんだ。後に参院議員となった故山下義信氏(1989年に95歳で死去)が私財を投じて開設した経緯や、職員との触れ合いの中から家庭的なぬくもりを感じ取る子どもたちの様子を、四つ切り画用紙15枚に水彩絵の具で表現した。

 木下さんは絵画が得意で、皆賀公民館の依頼で1月から準備を進めてきた。同館が保管していた、原爆孤児に関する中国新聞の連載「生き抜いた30年」(1975年)を読み込み、育成所の歴史に詳しい皆賀沖町内会の久保田詳三会長(67)たちが保存していた当時の写真などを参考に作画した。

 同育成所は、1945年12月に開設。財政難で53年、市に移管。67年の閉園までに312人が巣立った。育成所があった場所には、障害者通所施設「皆賀園」が立っている。

 木下さんは「地域の大切な歴史が形にできて良かった」と話す。原爆孤児たちとともに育成所で育った山下さんの長男晃さん(83)=中区=は「地域の人に記録を残してもらい、父も喜んでくれると思う」と話している。

 15日は午後1時半から。無料。皆賀公民館Tel082(922)6656。

(2014年5月31日朝刊掲載)

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