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父被爆でリスク高まる 「2世」の白血病発症 広島大研究 長崎で発表 出生時期も影響

「2世」の白血病発症

 広島で被爆した親を持つ被爆2世のうち、原爆投下から1年以降、15年以内に生まれて白血病を発症したケースでは、父親の被爆と、出生までの年月の長短が発症に影響していることが、広島大の鎌田七男名誉教授(血液内科)や同大原爆放射線医科学研究所の大滝慈教授(計量生物学)たちの研究で分かった。1日、長崎市であった原子爆弾後障害研究会で発表した。(馬場洋太)

1年ごとに38%減

 鎌田名誉教授は「これまでないとされてきた、被爆2世への遺伝的影響がある可能性が強まったと言える」と分析している。

 広島県と広島市が1973、74年に実施した調査で判明した被爆2世と、県内の病院で白血病と診断された患者のデータを照合。①親の両方または一方が被爆者②本人ときょうだいが1946年7月以降に生まれ、本人だけが白血病を発症―の条件を満たす54人を抽出し、発症リスクをきょうだいと比較した。

 その結果、父親または両親が爆心2キロ以内で被爆したか、2キロ以遠で被爆して8月6日に入市被爆したケースで、白血病を発症した2世の出生が原爆投下から年月が浅いほど発症リスクが高かった。母親だけ被爆したケースでは因果関係がみられなかったため、父親の被爆が要因とみられると結論付けた。

 リスクは1年ごとに約38%ずつ減っていて、例えば被爆1年後に生まれた2世のリスクを100とすると、同6年後は10を下回った。

 鎌田名誉教授は「遺伝情報や生活習慣が似通ったきょうだいを比較対象としたため、信頼性が高い分析といえる」と説明。父親の被爆が2世に影響する点については「精原細胞のDNAが傷つき、精子に異常が出たためと考えられる」と推測している。

(2014年6月2日朝刊掲載)

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