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産業奨励館 水面に面影

■記者 林淳一郎

 広島原爆の日を前に5日夜、原爆ドームが被爆前、旧広島県産業奨励館だった当時の姿を市民団体が元安川の水面にプロジェクターを使って映し出した。市民らが65年前の惨禍をかみしめ、犠牲者を悼んだ。

 午後9時ごろ、風で波立つ悪条件の中、ライトアップされたドームを仰ぐ川面に、まずは今のドームの輪郭を描いた映像が現れた。コンピューターグラフィックス(CG)映像は時間を巻き戻すように被爆前へ。緑を帯びたドーム型の屋根を頂く県産業奨励館の姿がぼんやりと浮かび上がった。

 水面には白い折り鶴約500羽を浮かべ、平和を訴える「ヒロシマ・アピールズ」ポスターなども映し出した。2004年から上映会を開く市民団体の山根進委員長(60)は「あの日を想像し、平和について考えてほしい」と願っていた。

(2010年8月6日朝刊掲載)

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