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中電、積立金取り崩しへ 370億円 2年連続 配当金を確保

 中国電力は本年度、内部留保の一種である別途積立金を370億円取り崩す方針を固めた。原子力発電所の稼働停止で赤字が続く中、配当金の原資を確保するため。26日の株主総会で提案する。(山瀬隆弘)

 別途積立金は、企業が業績悪化に備えて利益の一部を任意に積み立てるもの。取り崩しは33年ぶりだった前年度に続き、2年連続となる。370億円のうち、一部を年180億円余りの配当金の原資に、残りを14年3月期の単独赤字190億円弱の穴埋めに充てる。13年度末の別途積立金は1890億円で1520億円が残る。

 原発停止に伴う業績悪化で電力会社には別途積立金の取り崩しや無配が目立つ。福島第1原発の事故後、原発を持つ9電力のうち一度も無配になっていないのは中電と、14年3月期が黒字の北陸電力だけ。中電は「安定配当の継続」を基本方針とし、連結で2年連続の純損失ながら過去の蓄えで配当を維持する。

 中電は5日、株主総会の招集通知を発送した。原発に反対する株主が定款の変更を求めて提案した5議案全てに反対する取締役会の意見を付けた。

 原発の廃炉事業を定款に加える提案には、島根原発(松江市)の安全性を追求し、地域の理解を得ながら「再稼働・運転開始に取り組む」と表明。「廃炉を実施する場合は国の規制や監督の下で安全確保を大前提に適切かつ確実に実施していく」とし、定款変更は不要との見解を示した。

(2014年6月6日朝刊掲載)

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