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兵器開発の隠された真実 楠山監督「陸軍登戸研究所」きょうから広島 証言集めに6年

 ドキュメンタリー映画「陸軍登戸研究所」が7日から、広島市中区のサロンシネマで上映される。関係者の証言集めに6年以上を費やし、旧日本軍が設置した、秘密兵器や謀略兵器の開発拠点の実像に迫る。楠山忠之監督(74)は「インタビューを重ねるうち、すごいものに手をつけたと思った」と語った。

 川崎市にあった同研究所は第2次世界大戦時、殺人光線や風船爆弾、偽札などの開発や製造を担った。終戦で証拠隠滅が図られるなどしたため「実態が見えない」中、楠山監督は所員の手記を読んだのをきっかけに2006年、取材を開始。重い口を開いた40人は80~90歳代で、今は亡くなった人も多く「ぎりぎりの時期だった」と振り返る。

 証言を積み上げることで、所員や何も知らない若者が、いつの間にか戦争に加担し、命を奪っていた事実をあぶり出した。「戦争は、気付いたら始まっている」と楠山監督。「僕は、今を戦前だと思っている。戦争にしちゃいけない」と力を込めた。

 12年キネマ旬報ベストテンの文化映画3位。広島では初上映。(余村泰樹)

(2014年6月7日朝刊掲載)

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