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悲劇から学び 伝えることが使命 こども代表 平和の誓い

■記者 門戸隆彦

 広島市中区の平和記念公園であった6日の平和記念式典で、こども代表の古田台小6年横林和宏君(11)=西区=と袋町小6年高松樹南(みきな)さん(11)=中区=の2人が「平和への誓い」を読み上げた。復興を遂げた先人に感謝の気持ちを伝え、平和への願いを世界中に伝える決意を込めた。

 横林君は学校の平和集会で被爆者の証言に耳を傾けてきた。「今も後遺症に苦しむ人がたくさんいる」。今も続く原爆の脅威に危機感を持つ。「ヒロシマに生きるぼくたちの使命は悲劇から学んだことを世界に伝えること」。真っすぐに前を向いて誓った。

 高松さんの自宅は平和記念公園近くの西向寺。原爆で曾祖母らが犠牲になったことを聞かされてきた。ただ、自分の部屋から見える原爆ドームを「負の遺産とは思っていなかった」。被爆の実態と真剣に向き合う同世代の姿に触れ、自分の問題として考えるようになった。  こども代表となり、高松さんは「戦争や対立が起きたきっかけを学びたい」との思いが強くなった。

 誓いに盛り込まれた言葉は、市内の小学生の作文などが基になった。「次はぼくたちの番。地球を笑顔でいっぱいにするためにヒロシマの願いを未来へ伝えていくことを誓います」。明るく澄んだ声が青空に響いた。

(2010年8月6日夕刊掲載)


平和への誓い

ぼくの大好きな街、広島。緑いっぱいの美しい街です。
65年前の8月6日、午前8時15分。
人類史上初めて、原子爆弾が広島に落とされました。
一瞬のうちに奪われた尊い命。変わりはてた家族の姿。
原子爆弾は人々が築きあげた歴史や文化をも壊し、広島の街を何もかも真っ黒にしてしまったのです。

しかし、焼け野原の中で、アオギリやニワウルシの木は、緑の芽を出しました。人々も、街の復興を信じて、希望という種をこの地に蒔きました。
傷つきながらも力いっぱい生き、広島の街をよみがえらせてくださった多くの方々に、ぼくたちは深く感謝します。

今、世界は、深刻な問題を抱えています。紛争や貧困のために笑顔を失った子どもたちもたくさんいます。私たちの身近でも、いじめや暴力など、悲しい出来事が起こっています。これらの問題を解決しない限り、私たちの地球に明るい未来はありません。

どうしたら争いがなくなるのでしょうか。どうしたらみんなが笑顔になれるのでしょうか。
ヒロシマに生きるぼくたちの使命は、過去の悲劇から学んだことを、世界中の人々に伝えていくことです。
悲しい過去を変えることはできません。しかし、過去を学び、強い願いをもって、一人一人が行動すれば、未来を平和に導くことができるはずです。

次は、ぼくたちの番です。
この地球を笑顔でいっぱいにするために、
ヒロシマの願いを、世界へ、未来へ、
伝えていくことを誓います。

平成22年(2010年)8月6日
         こども代表 広島市立袋町小学校6年     髙松 樹南
                 広島市立古田台小学校6年   横林 和宏

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