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段階的避難「難しい」 島根知事 原発事故想定で

 島根県の溝口善兵衛知事は9日の記者会見で、中国電力島根原子力発電所(松江市鹿島町)の事故を想定し、鳥取県と公表した避難時間のシミュレーションについて、標準的な避難方法とした「段階的避難」は「現実にできるか、難しい問題がある」と述べた。

 一斉に避難した場合に比べて渋滞が緩和され、移動時間が短くなるとして担当課は周知を進める考えを示していたが、県政トップが実現に懸念を表明した。課題が山積する原子力防災の実情を露呈した格好だ。

 溝口知事は、福島第1原発事故で「東京辺りの人も避難した」とし、住民の避難行動が制御しにくいと説明。また「(災害時は)行政の情報よりインターネットやテレビの方が早い」と一律に情報を伝える難しさを指摘した。

 5月30日に示した試算では、原発5キロ圏の予防防護措置区域(PAZ)がまず避難し、5~10キロ、10~20キロと順に逃げるケースを標準的な避難とした。原発30キロ圏の両県約47万人が圏外へ脱出するには27時間50分かかり、圏域別の移動時間は一斉避難より5時間55分~16時間40分短縮されるとしていた。(樋口浩二)

(2014年6月10日朝刊掲載)

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