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惨禍の「証人」2万1千点 広島の原爆資料館が収蔵庫公開 劣化防止へ適正管理徹底

 広島市中区の原爆資料館は、被爆者や遺族から寄贈されるなどした約2万1千点の実物資料を収蔵している。常設展示されているのは約420点。その50倍もの「被爆体験者」が、核兵器使用による惨禍を後世に伝えるべく、資料館地下に眠っている。(田中美千子)

 9日公開されたのは、東館地下に4室ある収蔵庫のうち2室だ。いずれもロフト部分があり、延べ床面積は170平方メートルと394平方メートル。室温は20~22度、湿度は50~52%に保たれ、ひんやりとしている。

 「衣服」「家庭用品」「刀剣類」などに分類され、衣類は1点ずつ紙に包み、きりだんすに納めてある。文書類は中性紙の封筒入り。いずれも劣化を防ぐための措置だ。

 増田典之副館長は「寄贈者の思いが詰まった資料もある。適正管理を徹底する」と力を込める。ただ本年度の寄贈はまだ4件と低調で、さらなる資料を求めている。

 原爆資料館は全面改修に伴い3月、東館の工事に着手した。9月から常設展示を閉じて工事を本格化させる。2016年春の東館完了後は本館を閉館して工事し、18年春の全面オープンを目指す。

(2014年6月10日朝刊掲載)

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