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社説・コラム

『きらり人』 養専寺の住職 元浄公昭さん

元浄公昭さん(58)=山口県和木町和木

空襲 子どもに語り継ぐ

 毎月、寺で開いている「日曜学校」。地元の子どもたちに「おかげさま」と感じることの大切さを説いている。学校は1912(大正元)年に先々代が始め、後を継いだ。

 毎年5月には、45年5月10日の岩国陸軍燃料廠(しょう)(現和木町、岩国市)一帯の空襲について話すようにしている。空襲では動員学徒や従業員たちが亡くなった。寺の境内には「殉職者之碑」がある。法要の際、遺族や生存者たちから体験を聞き取ってきた。

 「広島に原爆が落ちる前、和木町でも悲しい出来事があった。亡くなった人たちにも夢があったんだ」。5月の日曜学校で、子どもたちに語り掛けた。陸軍燃料廠跡に、日本初の石油化学コンビナートができたことなど町の歴史も織り交ぜ、「おじいちゃん、おばあちゃんたちの苦労があって今のみんながいる。命のつながりを感じてほしい」。

 「過去を知ることで、今を考え、将来に向けて行動するきっかけにしてほしい」と願う。(増田咲子)

(2014年6月10日朝刊掲載)

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