×

ニュース

被爆65年式典 核なき潮流 世界が集結 米大使・国連総長ら参列

■記者 増田咲子

 広島市は6日、中区の平和記念公園で、原爆死没者慰霊式・平和祈念式(平和記念式典)を営んだ。米国による原爆投下から65年。昨年より5千人多い5万5千人(市発表)の被爆者や遺族、市民らが参列した。米国政府を代表するジョン・ルース駐日大使、国連の潘基文(バンキムン)事務総長も追悼の祈りに加わった。

 核兵器廃絶に向けた国際機運の高まりを受け、核兵器保有国から英国やフランス代表も初めて参列。これらを含め海外政府代表は過去最多の74カ国に上った。秋葉忠利広島市長は平和宣言で日本政府に対し、「核の傘」からの離脱や非核三原則の法制化を強くアピール。廃絶の先導役としての期待を込めた。

 午前8時からの式典で秋葉市長と遺族代表2人は、この1年間に亡くなった被爆者5501人(新たな死亡確認を含む)の死没者名簿を原爆慰霊碑に納めた。これで名簿は計97冊、26万9446人に。また長崎被爆分の名簿は4人の名前を加え計8人となった。

 原爆投下時刻の午前8時15分。こどもと遺族代表がつく「平和の鐘」が響き渡る。参列者は起立し、1分間の黙とうをささげた。

 続く平和宣言で秋葉市長は「こがあな いびせえこたあ、ほかの誰にも あっちゃあいけん(こんなに恐ろしいことはほかの誰にもあってはならない)」と広島弁で被爆者の願いを代弁。参列した菅直人首相に対し、核兵器禁止条約締結の音頭を取るよう求めた。

 また、こども代表の古田台小6年横林和宏君(11)=西区=と袋町小6年高松樹南(みきな)さん(11)=中区=は力強く「平和への誓い」を読み上げた。

平和宣言骨子

 ・65年前の惨劇を繰り返すことのないよう被爆者とともに決意を新たにする
 ・5月の核拡散防止条約(NPT)再検討会議の最終文書に市民社会の声が盛り込まれたのは
  潘基文国連事務総長やオバマ米大統領らの活動による
 ・日本政府に非核三原則の法制化、「核の傘」からの離脱、きめ細かい被爆者援護策を求める
 ・菅直人首相に核兵器禁止条約締結の音頭を取るよう訴える
 ・市民や都市は、2020年までの核兵器廃絶のため、さらに大きなうねりをつくる

(2010年8月7日朝刊掲載)

関連記事
被爆65年式典 核に傘離脱 未来への一歩(10年8月 6日)
悲劇から学び 伝えることが使命 こども代表 平和の誓い(10年8月 6日)
 

年別アーカイブ