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「ゲン」通じ図書館の自由語る 島根県松江

 日本図書館協会図書館の自由委員会の西河内靖泰委員長(60)=滋賀県多賀町立図書館長=が12日、図書館の自由をテーマに松江市で講演した。昨年8月に発覚した松江市教委による漫画「はだしのゲン」の閲覧制限などを通じ、図書館の自由を尊重した運営の大切さを語った。

 県公共図書館協議会の主催で、司書たち約50人が参加。ゲン問題の教訓は「良書、悪書は図書館が判断することではない」。明らかに人権を侵害する図書などを除き「利用者に提供するのが図書館の役目」と強調した。

 福島第1原発事故をめぐる漫画「美味しんぼ」の描写論争にも触れ「漫画の表現より、被曝(ひばく)の影響に関する正確な情報が広く伝わっていないことの方が問題」と指摘。「こんな時こそ図書館が情報を集め提供する必要がある」と述べた。海士町中央図書館の司書磯谷奈緒子さん(39)は「自分の価値観だけで選書するのではなく、さまざまな捉え方があると柔軟に考えることが大事だと感じた」と話していた。(樋口浩二)

(2014年6月13日朝刊掲載)

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